このたび、第32期の理事長という大任を拝命することとなり、その責任の重さに身の引き締まる思いであります。もとより浅学菲才、微力の身でありますが、できる限りの力を尽くして職責を全ういたしたいと考えております。
まず、本年4月14日以来、熊本を中心とする地震において、犠牲となられた方に哀悼の意を表しますとともに、被災された方にお見舞い申しあげます。全日本仏教会として、被災された方に寄り添い続ける活動を続けてまいりたく存じます。
さて、申すまでもなく、全日本仏教会の目的は「仏陀の和の精神を基調とし、相互の緊密な連絡提携のもとに、全国の各種仏教運動に全一性と計画性をもたせ、真に時代に即応する活発な全一仏教運動の展開と仏教による国際文化の交流を促進し、もって、仏教文化の宣揚と世界平和の進展に寄与すること」であります。
今日の社会情勢を思う時、武力や暴力による争いの激化、経済格差の増大、地球規模の自然破壊、科学技術の進歩による生命倫理上の問題、あるいは信教の自由を含む人権の抑圧など、多くの困難な課題に直面しております。生きとし生けるものに苦をもたらしている、これらの国内外の諸問題は、私たち人間のとどまることのない欲望と根本的な愚かさに起因していると言えるのではないでしょうか。今ほど、仏さまのお覚りの智慧に教え導かれて生きることの大切さが求められている時代はないと言えましょう。その意味において、いよいよ、私ども仏教徒・全日本仏教会のなすべき役割は、重いと言わなければなりません。
平成29年に迎える創立60周年を、仏教の役割を社会へ発信する機縁とし、齋藤明聖前理事長のもと精力的に準備が進められてまいりました記念事業の完遂に努め、仏教の社会的意義を広く発信していきたいと考えております。
皆様の温かいご教導を賜りまして、無事、その使命を果たすことが出来ますようお願い申しあげます。