道徳の教科化をめぐって
一般社団法人在家仏教協会
理事 菅原 伸郎(すがわら のぶお)
小中学校の道徳教育が強化される。これまでは週一回の特設授業だったが、小学校で二〇一八年度から、中学校で二〇一九年度から「特別の教科」に格上げされるのだ。他教科と同じように検定教科書が作られ、学期末に配られる通知表には「評価」も書き込まれる。
文部科学省は近く、その具体的内容を盛った新しい学習指導要領を決定する。愛国心を小学校の低学年から学ばせる、いじめ問題を念頭に公平や公正を教える、考えるだけでなく討論を重視する、といった方向も示される。その内容を宗教の視点をまじえて三回にわたって考えてみたい。
道徳の教科化をめぐって 1(全仏608号)
- 修身教育から道徳教育へ
- 公民の分野は必要
- 内面の「評価」が課題
- 相対化する視点こそ
道徳の教科化をめぐって 2(全仏609号)
- 低学年から「我が国」
- 愛国心は人類愛に通じるか
- からごころ ─排外主義の懸念
- 畏敬の念への疑問
道徳の教科化をめぐって 3(全仏610号)
- 検定教科書の登場
- 弱さや醜さも語りたい
- 教える側への懸念
- 人格の完成を目指して