葬儀は誰のために行うのか?シンポジウム記録集

葬儀は誰のために行うのか?シンポジウム記録集

葬儀は誰の為に行うのか?―シンポジウム記録集―

  • 第1回:お布施をめぐる問題を考える
  • 第2回:「お弔い」とは

シンポジウム記録集発行にあたって

公益財団法人 全日本仏教会
第30期事務総長  関﨑 幸孝

 今日の日本は少子・高齢化の社会となり、核家族化、更には高齢者の独居世帯が増加しているのが実情で あります。また、近年は特に大都市を中心として「菩提寺を持たない」「菩提寺を知らない」という方々が 少なからずおられます。そのような方々が、突然葬儀という場面に直面し、それに対応しなければならない ケースが増えております。

 菩提寺と関係を持たない方々が抱いている、お布施という明確な基準を持たないものに対する不満と、寺院との付き合い方がわからない不安に対して、私たち僧侶の側が、目を向け、耳を傾けてこなかったことが、 様々な問題となって表面化してきているのかもしれません。

 このたびのシンポジウムは、お布施を通して、僧侶は社会からどのように受け止められているのか、また檀信徒と僧侶の間で起きているであろう、葬儀やお布施に対する考え方の違いを浮き彫りにして、僧侶と一 般の方々との問題の共有を図り、菩提寺を持たないとされる人々に対して葬儀の重要性を示してみたいと企図し開催したものです。

 さらにはそのような方々と新たに寺檀関係を結ぶことができる葬儀、つまり一般市民が納得する葬儀とはどのようなものかを探り、その考え方を理解し、僧侶自らが「律する」という視点に立ち、一般市民と僧侶の信頼関係構築の一助となることを願って開催いたしたものです。

 本書が、以上のような本会の願いを具現化するための一石になることが出来得れば、この上ない幸せであります。

合 掌

平成25年4月1日