仏教Q&A

仏教Q&A

電話相談や、お問い合わせなど、よくある質問にQ&A形式でお答えしています。
  1. Q.日本の仏教にはなぜ宗派(しゅうは)があるのですか?
  2. Q.宗派はどのくらいあるのですか?
  3. Q.なぜお葬式をするのですか?
  4. Q.通夜・葬儀・告別式はそれぞれ違うのですか?
  5. Q.今までの葬儀と家族葬や直葬は違うのですか?
  6. Q.数珠・焼香について教えてください。
  7. Q.戒名って何ですか?そもそも必要なのでしょうか?
  8. Q.永代供養について教えてください。
  9. Q.改葬(お墓の引越し)について教えてください。
  10. Q.「終活」について教えてください。
  11. Q.お葬式を行う意味を教えてください。
  12. Q.お寺って税金を払っていますか?

Q.日本の仏教にはなぜ宗派(しゅうは)があるのですか?

最初に仏教の教えを説いたのはブッダであることはまちがいありません。仏教が日本に伝来し、既に1200年あまり経ちました。その中で、時代とともに解釈が変わり分派したものが宗派と考えてよいでしょう。
たとえば、天台宗や真言宗が開宗立教された年代と黄檗宗では、約800年という開きがあります。「お釈迦さまの教えと宗派仏教の教えは違うのではないか?」というご質問をいただくことがあります。各ご宗派は決してお釈迦さまの教えを変えているわけではなく、それぞれの時代背景の中で、仏の教えを説き続けて現在に至っているわけです。
日本仏教の各ご宗派を横一列的に見るのではなく、歴史の経過という奥行で見ていただきたいものです。
それから、各ご宗派の教義の違いについてですが、一つの山を登る際に、様々な登山ルートがあるように、「悟り」に至るための修行の仕方は様々です。つまり「悟り」という頂上は一つなのです。

日本仏教の流れ[34.28 kB]

Q.宗派はどのくらいあるのですか?

下の一覧は全日本仏教会に加盟している各ご宗派です。現在、国内の寺院の約7割が全日本仏教会に加盟している形になりますが、他にもたくさんのご宗派があります。
全日本仏教会への問い合わせの中で「おたくのご宗旨(しゅうし)はどちらですか?」と尋ねますと、「うちは真宗だ」「うちは禅宗です」と、お答えになられる方が少なくありません。
以前、お話しを伺っている間に「ちょっとおかしいな・・」と思い、改めて「たしかご宗旨は真宗系でしたよね?」と問い直したことがあります。そこで、いろいろと話しをしてわかったのが、その方にとっては「真宗系」に「真言宗」が入っていると思っていたということでした。皆さんも、改めて下の一覧でご確認下さい。

主な仏教宗派[46.08 kB]
全日本仏教会加盟団体紹介もご覧下さい。

Q.なぜお葬式をするのですか?

葬儀には三つの意味があるといわれています。
① 亡くなった方の「お弔い」です。これは宗教的なもので、世界の民族でお弔いをしないものはないと言われています。
② 亡き人との別れです。告別式といわれる部分がこれにあたり、社会的意味があります。
③ 葬儀には悲しみを癒す意味があります。読経がなされ、きちんとした形で葬儀ができ、皆さまにもお別れしていただけたということが、後々、遺族の心の安らぎ安堵につながっているようです。
仏式でつとめられる葬儀は、死を見つめる大切な時間です。亡くなられた方の安らかな顔を見ていると、誰しも湧き出てくるものがありましょう。人間は必ず死ぬという事実、そのなかで「いのち」を尽くして生きられたという感動、日々のご苦労、感謝…。「身業説法(しんごうせっぽう)」という言葉がありますが、亡き人は身をもって私たちに「いのち」の有りようを教えてくださっています。
葬儀は、私たちの気が済んだということで終わるものではありません。亡き人からの眼差しをいただいていくこと、亡き人との対話が大切です。

Q.通夜・葬儀・告別式はそれぞれ違うのですか?

本来は、親しい間柄の方で通夜が営まれ、葬儀に一般の人が見えるものでしたが、最近は通夜のほうに多くの弔問客が訪れる傾向にあります。通夜がメインの弔問の場となっているようです。
通夜には飲食が提供される場合が多いのですが、食事を共にすることで故人についての思い出が多く語られ、遺族が故人の知らない部分を発見するなど、慰めの場になっています。
葬儀は、葬場における仏教儀式と告別式から成り立っています。会葬者の多い場合には、葬儀と告別式を別に設ける場合もあります。通夜・告別式ではなく、通夜・葬儀ならびに告別式であることをご理解ください。

Q.今までの葬儀と家族葬や直葬は違うのですか?

高齢化社会を迎えて、いわゆる「家族葬」が増えています。形式に流されることなく、心を込めて家族を送りたいとの思いからです。
家族葬とは、不特定多数の一般会葬者がいない葬儀と考えてよいでしょう。ですから、これを執り行おうとする場合には、亡くなられた方の社会的立場、あるいは商売上の関係などをよく考慮して家族葬で大丈夫かを判断しなければなりません。
また家族葬は香典の収入もかぎられますので、遺族の金銭的負担がかえって大きくなってしまうこともあります。香典には相互扶助的な意味があることを忘れることはできません。
直葬は、親族の立ち合いのもと直接火葬場で荼毘にふす方法です。通夜も葬儀も行わないもので、結果として親戚関係や菩提寺との関係が損なわれてしまったなどということもよく耳にします。
できれば事前に住職に事情をよく説明し、相談されることをお勧めします。収骨後、葬儀のお勤めをすることも一つの方法です。

Q.数珠・焼香について教えてください。

数珠ができたのは、今から2500年前、お釈迦様の時代といわれています。仏さまにお参りするときの「身だしなみ」として、形や素材を変えながらたくさんの人に大切にされてきました。
正式には108の玉で出来ており、宗派によって仕立て方に違いがありますので購入の際には注意が必要です。ひと輪の数珠は、108の玉を略したもので、広く一般に使われています。
焼香は、仏教儀式において、精神と身体を清浄にするための象徴的作法です。お香の燃焼は、自己中心性やエゴが昇華して、自らが他者とともにある一人となることを表しています。
焼香の回数についても、1回から3回と宗派によって違いがありますが、心をこめて礼拝することが大切です。

Q.戒名って何ですか?そもそも必要なのでしょうか?

戒名は、宗派によって「法名」「法号」とも言われています。「仏弟子」となった者に与えられる名前で、仏教教団にとって極めて大切なものです。
なぜ戒名をつけなければならないのか、高い戒名料をとられた、などという疑問や不満がお寺に対する不信感につながり、それが社会問題化しているのではないかと危惧しています。
これらを解決していくためには、住職と檀信徒との相互の信頼関係が不可欠です。日頃より菩提寺住職に尋ねるなど、戒名について学んでいただきたくお願いします。
なお、生前に戒名をいただくことも良いことです。その場合には、菩提寺の住職にお問い合わせください。

Q.永代供養について教えてください。

少子化の影響で、お墓の継承がだんだん難しくなってきたのではと感じております。また人口の流動化により、菩提寺がない、あるいは菩提寺を持たない方々が増えています。そうした意味で、「永代供養墓」は今までのお墓の継承と違った形で、ご家族の「こころとこころの繋がり」を確認できる場になりつつあると思います。

Q.改葬(お墓の引越し)について教えてください。

改葬は、お墓の引っ越しです。最近、改葬の話題が聞かれますが、これも少子化の影響で墓を守り継ぐ担い手が少なくなっているからだと思います。改葬は、現在の墓地から新しい墓地への移動に際し、さまざまな手続きが必要ですが、まずは日頃からの菩提寺との話し合い、あるいは家族・親戚とも十分に理解し合える関係性を持っていることが一番大切だと思います。菩提寺も親戚も代々に亘って続いていく間柄です。

Q.「終活」について教えてください。

日頃、私たちは、死は自分にとって都合の悪いものと考え、死を遠ざけて生きています。しかしそれは、いわば一枚の紙の表だけを求めようとする姿勢にほかなりません。
仏教では、人生のことを「生死(しょうじ)」と表現します。生と死をあわせ持った人生観です。人間は、生きれば生きるほど死に近づいていくのですから、死を視野に入れて生を考えることこそ健全な死生観であるといえましょう。
よく、「人に迷惑をかけたくない」という言葉を耳にします。果たしてそうでしょうか。インドでは「人に迷惑をかけているのだから感謝して生きなさい」と教えるのだそうです。
お互いが迷惑と思わない人間関係、いのちといのちの繋がりを築いていくこと、そして日々新たなるいのちを賜って希望をもって生き生きと生きていくことこそが人生の終わりに備える活動、本当の「終活」なのではないでしょうか。

Q.お葬式を行う意味を教えてください。

亡き人は、私たちに大切な「贈り物」をしてくださいました。それは、人間は生まれた限り必ず死ぬ、ということです。亡き人が身をもって私たちに教えてくださった「いのち」の事実を、しっかりと受けとめていくことが大切です。亡き人の最後のプレゼント、それを受けとる「場」が葬儀なのではないでしょうか。
 近代社会は、人間を能力だけで価値化し、能力のない者や弱者、高齢者を役に立たない者、価値のない者とみる傾向が顕著です。ましてや亡くなってしまえば終わりだ、生きていることだけが価値のあることだという考え方が蔓延してきているように思われます。
仏教が大切にしてきた先祖供養は、亡くなった人を切り捨てていくのではなく、むしろ亡き人と向きあうことを通して自らの生き方を問い直していく、「いのちのバトンタッチ」なのです。
先祖供養をすすめる仏教教団が果たしてきた役割は、近代社会の検証とともに、いま再認識されようとしています。

Q.お寺って税金を払っていますか?

お寺は「宗教法人法」に則り運営されています。ご葬儀、法事、施餓鬼会などの宗教活動そのものには課税されません。それから境内や墓地には固定資産税はかかりません。また、駐車場を貸したり土地を貸したりしますと課税となります。宗教法人法では、宗教法人が行う事業の中で、法人税の対象となる34種類の収益事業が決められています。
それから、住職や住職夫人など、お寺に勤めている方々は、お寺から給料が支給されるので、皆さんと同じように源泉徴収されています。

収益事業の種類をご覧下さい[51.62 kB]