第三十期会長就任にあたって
2012年5月1日
全仏からのお知らせ
天台座主 半田 孝淳
この度、全日本仏教会第三十期会長に就任させていただくこととなり、身の引き締まる思いでおります。
さて、日本は昨年三月に、国難とも申すべき東日本大震災に見舞われました。
文明がいかに発達しようと「諸行無常」は避けることができないということを改めて感じます。しかし、そうであればこそ、残された方々は、なおさら命をいとおしんで生きることに大きな意味があります。
今後、理不尽に家族や友人を奪われ、住み慣れた土地を追われ、仕事を失った人々の心をいかに癒すかが、私ども宗教者の使命となることでしょう。
又、一方で、原子力発電所の放射能漏洩事故で、周辺の住民の方々は、住居や仕事を放棄せざるを得なくなり、長期にわたる避難生活を余儀なくされておられます。
利便性の美名の基に自然の理を無視し、豊かさのみを追求してきた人間の欲望や傲慢さに強い疑念を覚えます。
さらに、今日の我が国には、世界経済の悪化と構造不況により明日が見通せない閉塞感が満ちております。
このような状況を変革するためには仏教の慈悲心、利他の心を日本人が取り戻すことが必要であります。
よりよい日本、世界平和の実現に向けて、各ご教団のご協力とご支援をお願い申し上げる次第でございます。