【理事長談話】「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律について」
声明・談話・要望書
全日本仏教会 理事長談話
「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律について」
2022(令和4)年7月8日安倍元首相銃撃事件が発生し、尊い生命が失われました。ここにあらためて安倍晋三元首相に対し哀悼の意を表します。また、世界平和統一家庭連合(以下、家庭連合)による被害者の皆さまには、今後解決の糸口が見いだされ安寧な生活を送ることができますよう心より念じ上げます。
事件以降、被疑者の家庭環境において、宗教法人である家庭連合が過去より行ってきた霊感商法をはじめ、その手口や消費者生活相談件数、信者の家庭崩壊や政治との癒着、二世問題等が大きく取り上げられました。その実態には多くの方が嫌悪感を持ち、胸を痛めたことと拝察いたします。
政府はその多くの問題の迅速な解決を図るために各所轄庁で検討会や審議会、有識者会議等を開催し、12月1日「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」を今臨時国会に提出しました。同法案は12月10日成立し、同月16日に公布され、来年1月5日に施行される運びとなりました。
ここに、12月16日に公布された法律について、思いの一端を以下のように申し述べ、政府の慎重な運用を期待するものであります。
- ・先ず始めに、当法律は被害者に対する救済法であることから、その趣旨や意義には異論なく賛同する。
- ・当法律は特定の法人に対するものではなく、法人等の全体にかかることであるから、平等原則に則り執り行うこと。
- ・当法律に示された寄附の定義が過去より多くの信者の合意を得て認められていた寄附と同義であることに鑑み、法人等の管理運営を損なわせ、新たな問題を生じさせないよう留意すること。
- ・寄附の勧誘を行うにあたっての配慮義務、寄付の勧誘に関する禁止行為等の条文の中にはその規定が曖昧で、場合によっては健全に行われてきた宗教活動が阻害されるおそれがあるとも考えられるので、そのようなことのない様、勧誘の手引き等を示した運用がなされること。
- ・付帯決議に設けられた各事項を、施行後速やかに進め提示すること。
仏教(宗教)は私たちに生きる叡智を与え、心を安らかにし、また文化を形成する素地であります。その為に当法律が健全な寺院の維持運営の促進に阻害とならないよう御配慮いただきたいと存じます。仏教文化の宣揚と世界の平和に寄与すべくわたしたちは邁進して参る所存です。
2022(令和4)年12月20日
公益財団法人 全日本仏教会
理事長 里雄康意