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宗教法人の情報開示に対する鳥取県の控訴審判決について

2007年6月27日

加盟団体へのお知らせ 

宗教法人法に基づいて提出した財務文書を鳥取県が県情報公開条例で開示決定したのは違法であるとして、本会は日本宗教連盟・鳥取県仏教会と連携の上、関係省庁に働きかけてきました。

この件に関して、鳥取県の寺院が県を相手に開示決定の一部取り消しを求めていた訴訟の第一審判決は原告勝訴。第一審後、鳥取県知事が控訴しておりましたが、10月11日に広島高裁松江支部で【本件控訴を棄却する】との判決が出ました。以下判決の要旨を掲載させて頂きます。

1.宗教法人から所轄庁へ提出された書類を管理する事務は、以下のことからすれば法定受託事務であると解するのが相当。

(ア)宗教法人法第25条4項は、その文言解釈からも、書類の提出を受ける事務にとどまらず、提出された書類の管理についても規定したものと解釈する余地があること

(イ)同項の事務が、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして定められる法定受託事務であると規定されていることとの整合性

(ウ)書類の提出のみに意義があるのではなく、むしろ、提出された書類を所轄庁が適切に保管して利用することによって、当該宗教法人の業務または事業の管理運営の実態を継続的に把握することに重要な意義を有するといえる同項の趣旨

(エ)宗教法人の有する書類について、閲覧によって当該宗教法人及びその関係者の信教の自由が害されることがないように配慮すべきとの宗教法人法の基本的立場

(オ)宗教法人法の事務について、都道府県知事と文部科学大臣等が関与する仕組みになっていることからすると、書類の管理、特にその開示についての取り扱いは、全国一律の基準に基づいて処理するのが合理的且つ妥当であると考えられること。

2.文化庁次長の本件通知は、文部科学大臣から文化庁次長に対して与えられた職務権限に基づいて定められた処理基準であると認められ、鳥取県条例第9条2項1号にいう「実施機関が従わなくてはならない各大臣等の指示その他これに類する行為」に該当。

3.本件文書はいずれも一般に公開されていない非公知の事項であり、本件において例外的に開示すべき特段の事情を認めるに足りる特段の事情はない。

4.したがって、本件文書は、実施機関が従わなければならない各大臣等の指示その他これに類する行為により公にすることができない情報と認められ、これを開示した本件開示決定は、本件条例9条2項1号に違反する。